NEXT GIGA(ネクスト ギガ)とは?GIGAスクール構想との関係と実現のためのポイント

NEXT GIGA
公開日:2024/04/24 更新日:2024/04/30
NEXT GIGA(ネクスト ギガ)とは?GIGAスクール構想との関係と実現のためのポイント
目次

「NEXT GIGA」とは文部科学省が推進しているGIGAスクール構想の第2段階を表す言葉です。
現在、GIGAスクール構想(ファーストGIGA)によって、小学校から中学校まで児童生徒一人につき1台の端末が支給され、高速大容量の通信ネットワーク環境が整ってきています。
しかし、教員と児童生徒がやりとりを行う場面において「ほぼ毎日端末を利用した」と答えた小学生の割合は、全体の29.5%、中学生の割合は全体の25.7%となっています(令和5年度 全国学力・学習状況調査の結果)。つまり、端末を文房具のように毎日使う状況までには至っていない学校が多いことが、課題として挙げられます。
こうした課題を解決するために、NEXT GIGAでは、ファーストGIGAで配布された端末を更新するタイミングで端末やネットワーク環境のさらなる整備に取り組み、ICT教育の推進を強化していこうとしているのです。この記事では、NEXT GIGAのポイントを解説します。

NEXT GIGAとGIGAスクール構想の関係性

GIGAスクール構想の次のステージであるNEXT GIGAは「GIGAスクール構想第2期」とも呼ばれ、GIGA2.0やアフターGIGA、セカンドGIGAなどと言われることもあります。
まずは、NEXT GIGAを理解するうえで前提となるGIGAスクール構想の概要とNEXT GIGAとの関係性を紹介していきます。

GIGAスクール構想の目的

GIGAスクール構想とは、児童生徒一人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する構想を言います。多様な児童生徒を誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質や能力を一層確実に育成するための教育ICT環境の実現を目指すものとされています。
また、以前から蓄積されてきた教育現場における実践と、最先端の技術を組み合わせることで、授業の質を高めていくことも目指しています。さらに、全国の自治体・学校、児童生徒等の属性、学習内容等の教育データを相互に交換、蓄積、分析可能にする「教育データの標準化」もGIGAスクール構想の目的の一つです。
これらが実現されれば、より付加価値の高い学びが実現し、児童生徒が生涯にわたり自らのデータを蓄積・活用していくことができます。

GIGAスクール構想の現状

文部科学省が2023年10月に公表した「令和4年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)」には、学校における主なICT環境の整備状況の推移が記載されています。2023年3月1日現在で、教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数は「0.9」となっており、児童生徒一人に1台の端末を提供するという目標をほぼ達成しています。
また、普通教室における無線LANの整備率は2023年3月1日現在で95.7%、指導者用・学習者用デジタル教科書の整備率はそれぞれ87%を超えました。このように、GIGAスクール構想の目標とされていた一人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークの整備については一定の成果が見られます。一方で、さまざまな課題点も見えてきています。

NEXT GIGAは課題解決につなげるための取り組み

GIGAスクール構想の実現に向けて、文部科学省が令和3年8月に公表した「GIGAスクール構想に関する各種調査の結果」によれば、次の点が主な課題として挙げられます。

GIGAスクール構想の実現に向けた課題点

  • 学校の学習指導での活用
  • 教員のICT活用
  • 家庭学習での活用

ICT を授業や学習にどのように活用していくべきか、という点は多くの学校で課題になっていると言えるでしょう。ICTを活用することでより高い学習効果を得られる教科やテーマは何かを児童生徒と共に学び合いながら、見定めていくことが大切です。
また、教員がICT活用のスキルを身につけられる環境が整っていないことも課題となっています。
そして、端末の活用は学校だけでなく、家庭学習においても大切です。しかし、児童生徒に端末を持ち帰らせても「何をさせたらいいか分からない」といった悩みを抱える教員や保護者の方もいるでしょう。家庭学習における端末の活用方法も課題の一つです。

NEXT GIGAのポイント

NEXT GIGAのポイントとなる点を解説します。

ICT教育の推進

ICT教育の推進は、「GIGAスクール運営支援センターの整備事業」を通じて、国も支援を行っています。これは、域内のすべての自治体がICTを活用できるよう、ICT支援人材を育成・確保したり、機器が故障した場合にメーカーと協力して対応したりするなど、安定的に高度な支援を提供するための施策です。
また、各自治体においては予算の中でICT教育を行っていくために、中長期的な視点に立って予算を組んでいくことが重要です。地域や学校の現状を踏まえ、複数年度にわたってどのように端末やコンテンツを整備するのかを決めることが大切だと言えるでしょう。
現場の教員などの意見も交えながら、ICT教育にスムーズに取り組める環境を整えていくことが重要です。

校務のDX化

学校の取り組みとしては、働き方改革の推進や校務のDX化などが挙げられます。文部科学省の「令和4年度 教員勤務実態調査」によると、小学校で約6割、中学校で約7割の教員が月45時間超の残業をしており、新たなツールなどを導入するためのリソースが不足している現状がうかがえます。
そのため、まずは教員の負担を軽減させることが、ICT教育の推進には不可欠です。具体的な施策としては、授業に必要な資料を事前にデータで配布するといった業務の省力化が挙げられます。また、校務においては紙媒体でやりとりを行うことも多いため、ペーパーレス化を推進し、クラウドによってデータを共有していく体制を整えるという方法もあります。

端末の日常的な活用

児童生徒が、デジタル端末を特別なツールとしてではなく、文房具のように日常的に活用していけるように働きかけていくことが重要です。日々の授業の中では、「児童生徒が自ら情報を集め、学ぶ」といった学習を通して、デジタル端末を活用することができます。探究学習・調べ学習や協働学習と端末の活用は相性が良く、児童生徒が自発的に学ぶ機会を生み出していくことができます。さらに今後の展開として、PDS(Personal Data Store)を整備することによって、児童生徒が今後の人生において自分自身のデータを蓄積、分析し、自らの学習の見通しを立てることに活用していくことも期待されています。
しかし一方で、端末の利用によるゲームなどの娯楽への依存や、SNSを通じた第三者とのトラブルの恐れもあるため、利用方法に関して注意を促す情報リテラシー教育も必要になります。

ICT活用の具体例を紹介

NEXT GIGAの取り組みを推進していくための、ICT活用の具体例について紹介します。

探究学習・調べ学習での活用

デジタル端末を探究学習や調べ学習で活用すると、児童生徒一人ひとりがそれぞれの興味・関心や学習スピードに合わせて、自ら設定した問いや課題に関する情報を検索し、収集・整理していくことができます。児童生徒はさまざまな情報にアクセスする中で、玉石混交の情報を主体的に取捨選択する力を身につけることが必要です。

一斉学習での活用

一斉学習では、デジタル教材をうまく活用することで、資料の配布や宿題の設定などもスムーズに行えるでしょう。
デジタル教材とは、デジタル教科書やプリントなどをPDFデータにしたものが代表的ですが、紙媒体では実現できないデジタルならではの機能を備えたコンテンツも、教科や授業のテーマに合わせて活用することで、学習への理解度を高められるでしょう。例えば、プログラミング学習に役立つアプリケーションの活用や動画を用いたデジタル図鑑などが挙げられます。
児童生徒全員が自らの端末で画像資料や参考文献などを見ることができるようになるため、人数分の資料をあらかじめ準備する手間もなくなります。また、教員は児童生徒一人ひとりの反応や考えをすぐに把握しながら、双方向型の授業を行えます。

個別学習での活用

児童生徒一人ひとりの習熟度や興味・関心に合わせた個別最適な学習において、ICTはとても有用です。個々の学習履歴を記録できるため、それぞれの児童生徒の理解度に応じた、きめ細かな対応が可能となります。
また、児童生徒の興味・関心を教員が把握するのに役立つため、子どもたちの個性を大事にする教育にもつながっていきます。

家庭学習での活用

ICTは家庭学習においても効果を発揮します。デジタル端末を活用して、自宅などで日常的に学習を行うことは、家庭学習の質を高めるだけでなく、児童生徒にとって自発的な学びの機会を得ることにもつながります。
しかし、文部科学省が公表した「令和5年度 全国学力・学習状況調査」によれば、児童生徒に配備された端末をどの程度家庭で利用できるようにしているかという項目では、「毎日持ち帰って、毎日利用させている」という回答が、小学校で18.7%・中学校で23.5%と、端末持ち帰りはまだ一般的とは言えません。
日常的にICTを活用するには、端末を持ち帰ることのできる環境整備と習慣づけが重要ですが、それと同時に児童生徒が自ら使いたいと思えるコンテンツの充実も重要です。

まとめ:NEXT GIGAの実現に向けてICT教育をより充実させよう

NEXT GIGAは、GIGAスクール構想における課題を解消し、端末を活用したより豊かな学びを実現するための一連の取り組みを指す言葉です。自治体・教員がそれぞれの立場で推進することで、児童生徒一人ひとりの資質・能力がより一層伸びていくことが期待されています。

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